■企業紹介
愛知県豊橋市に本社を構える株式会社ニシは、2025年で60年の歴史を持つ総合建設会社。戸建住宅から公共建築、工場・店舗、さらには土木・造園、水道施設工事まで幅広く手掛け、地域のまちづくりに貢献してきた。同社独自の「スーパーウォール工法」「次世代エアコンF-CON(風のない冷暖システム)」「免震装置を使わない免震基礎工法」など、環境性能と快適性を高める技術を積極的に採用し、地域密着型の提案力で信頼を得ている。
また、同社は「健康経営優良法人」の認定(2022・2025年)やISO9001・14001統合認証取得など、品質と人材の両面から持続的成長を実現。地域の公共事業や工場営繕の分野では確かな実績を積み重ね、近年では文部科学省・東京大学との共同研究プロジェクトやモンゴルでの海外事業展開など、新たな挑戦にも意欲的に取り組んでいる。
「地域に必要とされ、未来に残る仕事を」を掲げ、環境保全や人材育成にも積極的に取り組む姿勢が同社の礎である。代表取締役の西崇秀社長は、伝統を守りながらも「守りの経営から攻めの経営へ」を掲げ、法務・人材・技術を融合させた未来志向の経営を推進。その羅針盤として伴走しているのが、小林大悟弁護士である。
■インタビュー
――小林弁護士との出会いについてお聞かせください。
西 最初の出会いは、今から10年ほど前、豊橋警察署の警察協議会という組織でした。地域の安全活動に民間の立場から意見を出す会で、私は地元の経営者として委員を務めていました。そのとき同じメンバーとしていたのが小林先生です。何度も会議をご一緒し、気づけば自然と仕事や経営の話をするようになっていました。
――当時から弁護士としての印象をお持ちでしたか。
西 正直に言えば、「この人、本当に弁護士なのかな?」と思いました(笑)。他の弁護士の先生方はどちらかというと威厳があって、こちらが気を使う存在です。ところが小林先生は、どんな話も柔らかく受け止めてくれます。最初は少し頼りなげにも見えたけれど、どこか信頼できる人柄を感じましたね。弁護士というより、同じ目線で話せる“仲間”のような印象でした。
――実際に顧問契約を結ぶことになったのはどんな経緯だったのでしょうか。
西 6年ほど警察協議会の活動を共にした後、ちょうど会社の体制を見直していた時期でした。公共事業中心の体制から企業・民間案件へのシフトを進め、さらに海外事業の話も持ち上がっていました。国内外で契約や法制度の壁に直面することが増え、「そろそろ専門家の力が必要だ」と痛感したのです。
そんなとき、ふと小林先生の顔が浮かびました。地域を知り、人柄を知っている。ならば長く信頼できるパートナーになってくれるのではないかと。そこから顧問契約をお願いしました。
法務が“守り”から“攻め”へ
――具体的には、どのような支援を受けているのでしょうか。
西 月に一度、定例のミーティングを設けています。内容は幅広くて、単なるトラブル対応ではなく、契約スキームや事業計画の段階から相談しています。
たとえば、モンゴルでの建設事業。現地企業との契約書作成、法制度調査、リスク設計などを一緒に進めましたが、これは本当に手探りでした。契約書一つとっても、日本語・英語・モンゴル語という三つの言語で整合を取る必要があり、しかも現地の商慣習は日本と大きく違う。着手金の支払い時期一つでも揉める余地がある。現地銀行の送金ルールも頻繁に変わり、想定どおりに進まない。
そんなとき、小林先生が「ここは契約に明文化しておきましょう」「担保条項を入れて交渉を優位に進めましょう」と、一つずつ整理してくれました。結果的に、私たちの側が法的根拠を持って交渉でき、相手方も安心して契約に応じてくれました。弁護士が単に“守る”のではなく、“前に出て交渉を導く”――まさに攻めの法務でした。
また、台湾での文部科学省・東京大学との共同実験プロジェクトも忘れられません。大学・国・企業が関わる特殊な契約で、条項は非常に複雑でした。たとえば、現地での事故リスク、設備破損時の責任、追加工事の精算条件など、曖昧にすれば後でトラブルになる要素が山ほどある。実際、現場入り直前に契約条文の一部が変更され、再交渉が必要になったときもありました。
私は現場を離れられず焦っていたのですが、小林先生がすぐに大学側と文書でやりとりをしてくれ、双方が納得する条文をまとめ上げてくれた。あのスピード対応がなければ、実験そのものが延期になっていたでしょう。法律の力が現場を動かした瞬間でした。
――まさに“攻めの法務”ですね。
西 ええ。以前の私なら、弁護士はトラブルが起きたときに頼む“最後の砦”でした。しかし、今は違う。むしろ新しいチャレンジを支える“最初のパートナー”です。
事前に契約書を整えるだけで、後のトラブルはほとんど防げる。法務を経営に組み込むことで、スピードも精度も上がる。実際、海外プロジェクトでは「法的リスクを把握している会社」として取引先や金融機関からの信頼も格段に高まりました。
モンゴルでも台湾でも痛感したのは、「法務を軽視した挑戦は長続きしない」ということ。顧問契約を結んで、常に弁護士と情報を共有しておく仕組みがあるからこそ、安心して新しい一歩を踏み出せるんです。
若手育成にも「法の視点」を
――経営面では人材育成にも力を入れておられますね。
西 はい。建設業界全体が人手不足ですが、うちはあえて未経験者を採用し、現場で育てています。中途で入った社員が数年で一級施工管理技士を取り、今では数億円規模の現場を任せられるようになりました。
こうした人材育成の中でも小林先生のアドバイスが生きています。たとえば、労務契約や安全管理に関する書式の見直しを一緒に行い、社員が安心して働ける仕組みをつくりました。海外出張に行く社員のために、労務リスクや安全規定を事前に整えたのもその一環です。
法務というと難しく聞こえますが、実は「社員を守る仕組み」そのもの。法律を知っているからこそ、現場での判断が速くなり、迷いが減る。若手に“法の感覚”を持たせることも、次世代の育成に欠かせない要素だと思っています。
法務は「経営の品質管理」
――予防・臨床・戦略という企業法務の三本柱でいうと、どの領域が最も効果的でしたか。
西 すべて大切ですが、特に「予防法務」です。契約や約款を整えるだけで、経営リスクは大幅に減ります。たとえば下請契約や外部委託契約も、小林先生に見てもらうようになってから、トラブルの芽がぐっと減りました。
そして、いま一番力を入れているのが「戦略法務」です。新規事業やM&A、さらには海外展開を考える際、法的な視点で整理してもらうと、判断が格段に明確になります。モンゴル案件の契約ひな形を共に作り上げた経験は、社内の大きな財産になりました。
つまり、法務とは“経営の品質管理”なのです。品質管理にISOがあるように、法務は経営そのものの信頼性を高める役割を果たしている。顧問弁護士がいることで、経営判断に「法の品質」が加わる。これは中小企業にとって最大の武器です。
信頼と課題、そして未来へ
――印象的なエピソードはありますか。
西 台湾のプロジェクトでのことです。契約条件をめぐって、大学側との認識が食い違ったことがありました。小林先生がその場に同席し、双方の立場を整理してくれたおかげで、スムーズに合意できました。「弁護士は交渉の盾ではなく、橋渡し役でもある」と感じましたね。
また、モンゴルの現地企業とのやりとりでは、時差や通信環境の制約で交渉が滞る場面もありましたが、先生が先方の代理人弁護士と直接オンラインで調整してくれ、現地商社や銀行との実務も円滑に進みました。こうして海外でも信頼関係を築けたのは、法務の支援があったからです。
――今後、小林弁護士と取り組みたいテーマはありますか。
西 事業承継とM&Aです。来年には息子が会社に戻る予定で、次世代への引き継ぎを進めています。モンゴルや台湾での経験を通じて、法務は“未来を描く力”だと気づきました。小林先生には、まさに「未来の経営の設計図」を一緒に描いてほしいと思っています。
法務があることで、挑戦が怖くなくなる。攻めの法務は、会社の成長を後押しする羅針盤なんです。
■攻めの法務が経営を変える
株式会社ニシの西崇秀社長にとって、小林弁護士は「守りの法務」の外注先ではなく、「攻めの法務」の戦略的なパートナーというべき存在。モンゴルや台湾といった海外展開をはじめ、若手育成や事業承継など、長期的な経営課題に取り組むうえで、契約・リスク・組織の各側面から継続的な支援を受けることで、同社は“困らない経営”を着実に実現しつつあります。
法務は単なるトラブル対応の手段ではなく、企業の信頼を築くための「見えないインフラ」であり、経営の品質そのものを高める推進力です。特に中小企業にとって、日常的に相談できる法務部門の戦略パートナーを持つことは、事業の持続性を左右するほどの重要な経営資源といえます。法務が経営に寄り添い、先回りして課題を解決することで、企業は安心して次の一歩を踏み出せます。
「弁護士を最後の砦ではなく、経営の伴走者に」──この言葉を体現する実践こそ、地域建設業の未来を切り開く鍵となるのです。





